日本は島国であることから、古来より多くの地域で「みなと」が開発され、またその背後に「みなとまち」が一体的に形成されてきました。これら「みなと」「みなとまち」の「歴史・文化」は、地域個性(アイデンティティ)を研ぎ出す上での有効な資源となり得ます。
当社は、創立時からの研究テーマとして、「みなと」「みなとまち」の「歴史・文化」の発掘・分析、記録・保存、「歴史・文化」を活かした計画や設計業務に取り組んでいます。
みなとの文化
「みなとまち」には、船による交易・交流活動を通じた文化の伝播や蓄積された富を背景とする様々な文物等、内陸の「まち」とは異なる独特な文化が歴史的に形成されてきました。しかし、近代化の過程で姿を消してしまったものも多いのが実情です。
一方、21世紀は「文化」の時代とも言われています。「みまとまち」の個性や文化力を高めるため、失われつつある「みなとの文化」を保全・伝承し、失われた文化の発掘やこれからの活用のために、「みなとの文化」に対する人々の関心を高めていくことが重要と考えます。
このため、当社では(一財)みなと総合研究財団との共同自主事業として、「みなとの文化」に関する研究を継続的に行ってきました。今後はそれらの蓄積を活かし、論文発表や「みなと文化振興政策」の提言等に取り組みます。
- みなと文化基礎データ収集業務(2004~05・(財)港湾空間高度化環境研究センター)
- みなと文化通史作成業務(2006~12・(財)港湾空間高度化環境研究センター、(一財)みなと総合研究財団)
港湾史と復元設計
みなと」の歴史を研究することや、「みなと」の遺構の保存・活用を図ることは、港湾資産(ストック)の有効利用に結びつきます。地域の人々に馴染み深い資産であるだけに、その整備効果は高いと考えられます。
当社はこれまで、伝統技術の保存に関する調査や、歴史的遺構等の発掘とその活用方法の検討に係る業務を行ってきました。財政逼迫の折、事業の優先度が相対的に低下してきていますが、保存・活用を図るべき資産を発掘し、地域にとっての整備効果を提示しながら、事業化に向けた働きかけを継続的に行っていきます。
- 臨海部空間における伝統的な石積み技術の再構築に関する調査(2004・国土技術総合研究所)
- 野蒜築港跡地域づくり活用方策調査(2006・国土交通省)
- 旧芝離宮恩賜庭園の拡張に関する検討調査委託(2013・東京都)