みなとからのまちづくり

 みなとは、物流拠点、生産拠点として世界や国内各地と結ばれた、地域の産業を支える地域の活力の源です。しかし、それだけではなく、地域の水辺として地域住民、来訪者に貴重な環境を提供する面も有しています。
 当社は、創立以来、様々な“みなとづくり”に取組み、多くの業務実績とノウハウを蓄積しています。歴史、文化、環境、みなとまち、マリンレクリエーション・観光などのキーワードに基づき、総合的な港湾空間の形成に取り組んできました。今後とも、これらのノウハウを活かし、様々な港湾の利用者にとって望ましい港湾を目指した取り組みを行っていきます。
特に、産業構造の変化、国際分業の進展等により、日本の港湾貨物量の減少、産業空間の低利用化、港湾空間の遊休化が進む中、個性ある地域の発展や活性化のため、水辺としての港湾空間を有効に活用しようという動きが見られます。
 今後は、これらの空間の再開発や水域の有効活用が求められることから、多様な可能性を視野に入れた港湾空間の形成に関する調査、計画、設計に取り組みます。

水辺のまちづくり

 当社では港湾だけでなく、海岸や河川の水辺の利活用に関する取り組みも行っています。海岸法の改正以前より、環境、利用、防護が調和する総合的な海岸空間の検討や、官民の連携した利用管理、維持管理やその体制のあり方について取り組んできました。
 一方、先の東日本大震災では、想定外の津波の発生に伴い、施設のみによる防護の限界が露呈し、ハードとソフトを組み合わせた海岸防護の検討が求められています。水辺は、地域活力の源であり、地域づくりには欠かせないものです。従来の防護施設を中心とした海岸整備から、防護を踏まえたうえでの人々と海辺のつながりを取り戻す望ましい水辺の姿を目指し、具体的な計画、設計に取り組みます。

みなとの文化と歴史の活用

 「みなとまち」には、船による交易・交流活動を通じた文化の伝播や蓄積された富を背景とする様々な文物等、内陸の「まち」とは異なる独特な文化が歴史的に形成されてきました。
しかし、近代化の過程で姿を消してしまったものも多いのが実情です。
 一方、21世紀は「文化」の時代とも言われています。「みまとまち」の個性や文化力を高めるため、失われつつある「みなとの文化」を保全・伝承し、失われた文化の発掘やこれからの活用のために、みなとの文化に対する人々の関心を高めていくことが重要です。「みなと」、「みなとまち」の歴史・文化の発掘・分析、記録・保存を進めつつ、歴史・文化を活かした計画や設計業務に取り組みます。